育んであげたい、0~3歳の心の発達/ 脳のしくみとイヤイヤの2歳児
子育てのこと
脳のしくみとイヤイヤの2歳児
#育んであげたい、0~3歳の心の発達
#コミュニケーションする力を育む
#コミュニケーションする力を育む
2歳児の特徴を表すのが、「イヤイヤ」「自分で」という言葉。「イヤ」と「自分で」を繰り返し、さんざん手こずらせて、結局大泣きで終わる、そんなこともよくあって、ママはその度にイライラして疲れてしまいます。
反抗は子の成長の証
人には、反抗期が2回あります。1回目は、2歳~3歳の第1次反抗期で、「魔の2歳児」と呼ばれるもの、2回目は12歳~15歳のちょうど思春期に当たる頃です。いずれの時期も、身体や脳が急速に発達・成長する時期で、われわれ小児科医は、「反抗は子の成長の証(あかし)、喜ぶゆとりをもって見守るように」と親に話すのですが、なかなか納得していただけません。
反抗の原因は、思考と行動の発達のズレ!
この反抗期は、脳のしくみ、つまり、少し難しい言葉ではありますが、大脳の旧皮質(大脳辺縁系)と大脳の新皮質(前頭前野)の発達のずれから起きていると理解すれば、子どもの示す不可解な行動も、少しは理解でき、親のイライラも軽減するのではないでしょうか。(下図)
大脳の旧皮質(大脳辺縁系)は、快不快や喜怒哀楽など本能的な働きをつかさどるもので早い時期から発達し、行動のアクセルとして働きます。それに対して、遅れて発達してくる大脳の新皮質(前頭前野)は思考や判断をつかさどり、行動のブレーキとして働きます。大脳辺縁系の本能的な働きが急速に発達する2〜3歳頃と、性ホルモンの影響を強く受けて、大脳辺縁系が急速に発達する思春期。これらの時期は、大脳の新皮質(前頭前野)が未発達であるため、ブレーキが効かず暴走してしまうのです。この新皮質(前頭前野)は4〜5歳になってはじめて機能し始め、この部位が成熟するのは20歳を過ぎてからと言われています。
- お話をお聞きした先生
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小児科医神戸大学 名誉教授中村 肇 先生
専門は、小児科学、新生児学。神戸大学医学部附属病院院長、兵庫県立こども病院院長を歴任。あたたかい心を育てる育児の大切さを提唱。