“イヤイヤ期”は、“自己主張期”
#コミュニケーションする力を育む
2歳児は英語で“テリブルツー(Terrible Two)”と呼ばれます。外に対する好奇心と自分のやりたい気持ちが大きくなり、自己主張が強く始まる時期です。親が「こうしてほしい」といっても、それをふりきってでも自分のやりたいことをしたいときなのです。
この時期の子どもは広がる世界の中で自己主張しています。自分で納得したことは身につくけれど、まわりから止められたり、抑えつけられたりしたものは身につきません。”イヤ”といって自己主張するけれど、危険なことだったり、他人に迷惑をかけたりすることの場合は、それが認めてもらえないことを体験します。この経験を重ねていって、ここまでは自己主張できる、これ以上はダメという頃合いを学び、それが3歳以降に他人の気持ちがわかったり、我慢したりする能力につながっていきます。
“イヤイヤ期”は大変な時期ですが、その時々の気持ちを出来るだけくんで、わかってあげようとしてください。子どももやってみたいことがたくさんあるのに、簡単にはできなかったり、イライラする場面が出てきます。「ダメ」「片付けなさい」といった言葉だけで注意や命令をするのではなく、「一緒に片付けよう!このおもちゃはココでいい?」といった命令ではない声かけや、やるべきことを親の態度で見せることがこの時期には大切です。3~4歳になって、なぜかということがわかり始めると言葉によるしつけも効果が出るようになります。
“イヤ”、”ダメ”のやり取りの中で、世の中にはルールがあること、他人の気持ちを理解して、ときには我慢して他人に譲ることを学ぶ大事な2歳。心の成長にとっても大事なこの時期を”イヤイヤ期“というネガティブな表現で呼ぶよりも、”自己主張期“と呼ぶ方がふさわしいと常々思っています。
- お話をお聞きした先生
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小児科医お茶の水女子大学 名誉教授榊原 洋一 先生
専門は、小児神経学、発達神経学など。子どもの心と体の発達に関する著書多数。日本子ども学会理事長。発達障害研究の第一人者であり、現在も子どもの発達に関する診察、診断、診療を行う。