“まなかい”の大切さ
#赤ちゃんの働きかけに応じて育む信頼関係
生まれて間もない赤ちゃんでも、ほほ笑みかけると、赤ちゃんの表情がゆるみます。赤ちゃんが「ほほ笑み始める」のは1〜2か月頃と多くの育児書に書かれていますが、その開始時期は周囲の大人が赤ちゃんにどのように関わっているかで違います。いつも赤ちゃんの正面から笑顔で話しかけていると、赤ちゃんはお母さんの笑顔に反応し、早くからほほ笑み始めます。この見つめ合いやほほ笑みを通じて、母と子の間に心地よい気持ちが通い合う、それが育児の原点の“まなかい”です。
小児科医の大先輩である内藤寿七郎先生は、著書「新 育児の原理」※の中で、まなかいとはお母さんと赤ちゃんの「目と目が合うこと」であり、診察をする時にいつもまなかいを実践されていた内藤先生は「泣く子も黙る内藤」と呼ばれていたエピソードを書かれています。そこにはタネもシカケもなく、「いつも無心で赤ちゃんを抱いたり、目で話しかけるように努めている」だけなのだそうです。やさしい気持ちで赤ちゃんを抱き、見つめてあげる「まなかい抱っこ」で、赤ちゃんの心は安定します。目で伝える愛情は、いくら赤ちゃんにふり注いでも与え過ぎになることはないのです。
生まれたばかりの赤ちゃんは近視ですが、授乳するときの赤ちゃんとお母さんの目の距離が、ちょうど25~30㎝位であれば、ピントが合いやすいと言われています。赤ちゃんはお母さんの顔から、やさしさを感じ取る力を持っています。授乳しながら、スマホに夢中になっているお母さんを見かけると「もったいないなあ」と思います。赤ちゃんへの授乳は人生の中でとても限られた貴重な時間です。是非、スマホを置いて授乳してあげてください。
- お話をお聞きした先生
-
小児科医神戸大学 名誉教授中村 肇 先生
専門は、小児科学、新生児学。神戸大学医学部附属病院院長、兵庫県立こども病院院長を歴任。あたたかい心を育てる育児の大切さを提唱。