気になる寝返り、いつから?
赤ちゃんの発達は、頭から足の方に向かって、また体の中心部分から手・足先に向かって進んでいくのが原則です。首がすわって体の中心部位が安定し、目でモノを追うようになり、自分で動きたい気持ちの芽生えとともに、あお向けの状態でも動きが増えてきて、寝返りへとつながっていきます。
寝返りは早くても遅くても親としては気になるものですが、一般的には生後5~6カ月頃が目安です。
下記の厚生労働省の発達調査結果からもわかるように、寝返りができるようになる時期は個人差も大きいですが、生後7~8カ月までに95%以上の赤ちゃんが寝返りできるようになります※1。
寝返りができるようになる時期の割合
月齢 | 寝返りができる 赤ちゃん |
---|---|
2~3カ月未満 | 1.1% |
3~4カ月 | 14.4% |
4~5カ月 | 52.7% |
5~6カ月 | 86.6% |
6~7カ月 | 95.8% |
7~8カ月 | 99.2% |
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001t3so-att/2r9852000001t7dg.pdf
発達段階(月齢目安)によって異なる寝返りの方法
生後4カ月頃にもう寝返りをする赤ちゃんと、生後7~8カ月になってから寝返りを始める赤ちゃん。
その方法をよく観察すると、生後4カ月頃の寝返りは、頭が向いた方向に体も一体となってコロンと寝返りますが、生後7~8カ月頃の寝返りは、気になる方向に頭が向き、体の真ん中の線を越えて手を伸ばし、体を回転させ、足もうまく使ってなめらかに寝返っていることがわかります。寝返りを4カ月頃に始めても7~8カ月頃に始めても、どちらも心配する必要はありません。4カ月に寝返りを始めた赤ちゃんも月齢の経過とともに熟練し、よりなめらかに寝返るようになります。
寝返り時期には安全な環境を整えて
寝返りを始めたばかりの赤ちゃんがうつ伏せになった時、からだや胸の下にはさまってしまった手をうまく引き出せなかったり、顔を上げた状態を保てなかったりすることがあります。そんな時は、やさしく赤ちゃんの手を出してあげて、目を離さず見守ってあげてください。
うつ伏せになった時、赤ちゃんの顔が沈みこまないように、硬めの布団(マットレス)に寝かせることや窒息の危険性があるタオルなどは近くに置かないようにすること、また転落事故の危険性もあるため、段差のある場所に寝かせておかない等の注意も必要です。
寝返りが遅いことが気になるときは
赤ちゃんの頃の運動の発達の早さと、大きくなってからの運動神経は無関係とも言われています。
体重が重い赤ちゃんは、寝返りが苦手だったり、体がやわらかい赤ちゃんは、うつ伏せが嫌いで寝返りを始めるのが遅い傾向もあります。
寝返りが多少遅く感じても発育・発達に問題がなければ、無理やり手足を動かして練習する必要はありません。もし気になるようなら、赤ちゃんとのふれあいの中で、左右に重心位置を揺らす遊びや、おもちゃなどで赤ちゃんの興味・関心を促し、動きたい気持ちにつながるような遊びを取り入れてみるのも良いと思います。生後8カ月を過ぎても寝返りをしなかったり、その兆しもみられないようであれば、かかりつけ医に相談されると安心です。
- お話をお聞きした先生
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理学療法士元 杏林大学 保健学部理学療法学科 教授中野 尚子 先生
赤ちゃんの姿勢運動発達や行動発達、動作分析を長年にわたって行う。日本赤ちゃん学会評議員。現在は東京大学大学院教育学研究科で研究を継続。