赤ちゃんの不思議な能力/ 見て見て、赤ちゃんの不思議なしぐさ
赤ちゃんのこと

見て見て、赤ちゃんの不思議なしぐさ

#赤ちゃんの不思議な能力

赤ちゃんには、その時期にしか見られない不思議なしぐさがあるそうです。たくさんの赤ちゃんに接してこられた小児科医の小西先生が、是非お母さんやお父さんたちに出会ってほしい赤ちゃんの可愛いしぐさをご紹介してくださっています。

■ 眠りながらほほえむ赤ちゃん

生まれたばかりの赤ちゃんの寝顔は、見ているだけでこちらの気分を癒してくれます。

「あれ?眠っているのに今微笑んだ?」 そう、この赤ちゃんの笑顔が「天使のほほえみ」と呼ばれるもの。これはまだ感情を伴った笑みではなく、左右の口角をすっと引き上げただけの生理的微笑です。このほほ笑みは、お母さんやお父さん、周囲の大人のまなざしをひきつけ、笑い返したり、声をかけたりという働きかけをうまく誘い出します。実はこの「笑う」という能力は動物のなかでもヒトとチンパンジーだけにある高等な能力なのです。

■ お母さんの胸を手の甲でさする?

お母さんに抱っこされた赤ちゃんが、手の甲でお母さんの胸をさすっているのを見かけたことはありませんか?これは発達行動学の研究で発見されたしぐさです。どうやら、お母さんの存在を確認しているらしいのですが、なぜ手のひらではなく、手の甲なのでしょう?手のひらを刺激するとすぐに握ってしまう「把握反射」がある時期の赤ちゃんは、手のひらで触ることができないのです。手の甲でさわっていると、赤ちゃんはだんだんリラックスして手が開いてきます。

■ 指を口に入れると吸いつく

生まれたばかりの赤ちゃんでも、すぐにおっぱいを吸うことが出来ます。これは赤ちゃんに生まれたときから備わっている「吸てつ反射」のおかげ。この反射は吸ったり、すすったりという動作を赤ちゃんの気持ちと関係なく反射的にすること。また、赤ちゃんの口元や頬を指で軽くつつくと顔を指の方へ向けてきます。これはおっぱいを探す反射。この反射もやがて消えていきますが、その頃にはおなかがすいたことを泣いてしらせることが出来るようになっています。

■足の裏をつつくと足をひっこめる

赤ちゃんの足の裏をチョンとつつくと、赤ちゃんはピクっと足を引っ込めます。これは「逃避反射」。生きていくために危険から身を守るための反射といわれています。自分の意思とは関係なく動く反射を赤ちゃんは数多く持っています。

■ 生まれてすぐなのに歩く!?

両手で赤ちゃんの両脇を支えてあげて、足の裏を床につけるようにすると、まるで歩くように両足を交互に動かします。(首がすわらない頃に見られる反射なので、無理のない範囲でしてあげてください。)赤ちゃんは生まれたばかりでも既に歩く力を持っているのです。でも、これも「自動歩行」という原始反射の1つで、数カ月たつと消えてしまいます。意識的な歩行になるまでは、まだ少し時間が必要です。

■ 抱いている人の顔をじっと見る(生後2カ月頃)

抱っこした赤ちゃんに顔をじっと見つめられたことはありませんか?生まれた直後の赤ちゃんは近視で、脳と一緒に視覚も成熟していきます。生後2カ月を過ぎたころ、動くものをみるとそこから目が離せなくなる「強制固視」が起こります。これは赤ちゃんの脳が急激に変化しながら育っている過程で起こることです。1~2カ月もすればなくなります。

赤ちゃんの個性はそれぞれ。ご紹介したしぐさもひとりの赤ちゃんがすべて行うわけではありません。あくまで目安と考えて、赤ちゃんとの時間を楽しんでください。

※この内容は小西先生の下記の著書を参考にManabiyaがまとめたものです。
小西行郎著. 『赤ちゃんのしぐさBOOK』. 海竜社. 2005, 216p