無痛分娩って何?その1
全く安全に、痛みを感じずに出産したい。。。でも、そういった方法は残念ながら無いのが現状と言えます。
つまり、生むためにどうしても必要な痛みが“陣痛”です。ただ痛みを完全に回避するのではなく、上手く陣痛を利用し乗り越えることはできます。その手段の一つが、無痛分娩です。
そもそもなぜ、出産の時は痛いの?
自然分娩では、子宮はキューっと収縮して、子宮の出口が引き伸ばされ、赤ちゃんを押し出すように働きます。そして、赤ちゃんが母体の狭い骨盤をくぐり抜ける際にも骨盤を押し広げるので、痛いのは必然です。ただ、痛みに対しては、頑張れる方・苦手な方と個人差が大きいようですので、一概に「陣痛はとてつもなく痛いもの」の先入観は捨てましょう。痛みの正体が判れば、少し不安が少なくなりませんか?
無痛分娩だと本当に痛くないの?
分娩時の痛みを麻酔で軽減させて出産するのが、無痛分娩です。麻酔をすれば、「全く痛くないなら、最高!」と思う方も多いかと思います。しかし違います。最大の痛みを100%とすれば30%くらいに減少させるのみです。痛みを0まで下げてしまうと分娩の進行が遅くなってしまうのです。
無痛分娩の場合、一般的には、およそ3分の1の方が陣痛をほとんど感じなくなり、3分の1の方が痛みではなくとも違和感(お尻にズーンとくるなど)を感じ、残りの3分の1の方は痛みとして弱い陣痛を感じます。しかし、その痛みは我慢できないような痛みではなく、軽い痛み(通常の陣痛の十分の一くらいの痛み)として感じます。このような場合は、正確には『無痛』というより『和痛』というべきかもしれません。
痛みに弱い人にとっては、自然陣痛の強い痛みは不安や恐怖感によるストレスを増やし、体力を消耗し、分娩の妨げになることもあります。このような方に麻酔を併用することで、苦痛感、疲労感を和らげ分娩進行がスムーズになることが期待されます。
- お話をお聞きした先生
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産婦人科医かしわざき産婦人科柏崎 香織 先生
最新の設備と専門機関との密な連携で妊婦さんの安全・安心な出産を第一とした診察を行う。自身も二人の子どもの母親であり、女性ならではの視点で妊婦さんに寄り添う。